推薦者の声
坂元英峰(sakamoto hidetaka)
- MERCURY GENERAL
- 代表弁護士
- 対象国:アジア・南米
御社が提供されているサービス、商品についてご紹介してください。
シンガポール・タイ・フィリピン・ベトナム・マレーシア・ミャンマー・カンボジア・ラオス/中国・台湾・香港/韓国/インド・バングラディシュ・スリランカ/ブラジル 各海外拠点での業務においては ■国際事業の企業法務顧問 ■国際紛争処理 ■国際契約ディレクション ■国際海外現地法人登記 ■現地法人取締役 ■企業価値デューデリ ■知的財産の保護 ほか
これまでの弊社とのお付き合いの中で記憶に残っている事柄がありましたら、教えてください。
・フィリピン進出企業の法務問題支援 ・フィリピン進出企業の現地法人登記など法務支援 ほか
弊社の商品・サービスがオススメな人がいるとしたら、どんな人でしょうか?
■海外進出を控えている中堅中小企業、特に製造メーカーや流通業、サービス業 ■大手企業の海外進出プロジェクト責任者 ■海外進出を支援する他のコンサルティング会社や大手シンクタンク ■海外投資コンサル会社 ■海外不動産投資家
今後、弊社に期待されることやご要望などございましたら教えてください。
ASEAN各国の事業戦略上のさまざまな課題の解決を協力してやってゆきたい。
【Column】日系企業の海外合弁(ジョイントベンチャー)においてよく見られる失敗例
日系企業の海外進出に際し、海外現地企業との合弁会社の設立(JV)という方法が採られることは少なくありません。
JVには、
①初期投資負担の軽減
②ランニングコスト負担の分担による負担軽減
③既存設備や既存販路の活用
④現地文化等にフィットした現地法人運営等が可能になるというメリットが想定されます。
また、そもそも、外資規制によって日系企業の100%子会社設立が不可能または著しく困難な場合には、JV形態を選択せざるを得ないこともあり得ます。
かようにJVは有用な海外進出形態という面を有しますが、他方において、
①現地法人の単独支配ができず、ガバナンスを効かせにくい
②パートナーの善し悪し次第で、現地事業の成否が大きく左右される
③JV契約の内容等によっては、逆に海外進出等の足枷にもなりかねない等、様々なデメリットやリスクもあります。
JV推進に際しては、いかにして上記のメリットを最大化し、デメリットを最小化するかという観点から、JV相手との交渉に臨み、JV契約書や定款等を整備する必要があります。
しかしながら、驚くべきことに、当法人にJV関連のトラブルとして持ち込まれる案件には、「JV契約書すら存在しない」という非常に残念なケースもあります。また、JV契約書があったとしても肝心なことが何も書かれていない、非常に薄いものであったり、一見内容が充実しているように見えて、実は悉く日本企業側に不利な内容を相当多数含むという意味で充実してしまっているものであったりと、やはり残念としか言いようがないケースが少なくありません。
また、JV契約書自体はそれなりにしっかり作成されたように見受けられるものの、合弁会社の設立はJV相手に任せきりにしてしまった結果、定款内容がJV契約と一致しておらず、結局合弁会社の運営に関してJV契約書で合意した内容を実現できないといったように、非常に中途半端な結果になってしまったケースも見られます。
何故そのようなことをしてしまうのか?考えられない!と思われるかもしれませんが、JVに至った経緯等を伺ってみますと、「現地で日本語の上手な人間と知り合った」「とても良い奴だったので信用できると思った」「その人間の紹介だし、良い会社だと言うから大丈夫だと思った」等と、信じられないことを仰ることがあります。しかも、こういったお話を伺ったことは1度や2度ではありません。
日本人はそもそも、海外では(語弊はあるかもしれませんが)カモと見られているという前提で考えるのが丁度良いと思いますが、日本と同様の安全感や性善説持参で海外に行ってしまい、日本語が上手な相手に会うだけで妙に安心してしまい、案の定カモにされてしまうことが少なくありません。海外の観光地の土産物屋じゃないんだから、と思われるかもしれませんが、これはJVやM&Aの世界でも少なからず起きていることです。
JVで失敗すれば、速やかに撤退すれば良いとおか、あるいはJV関係を解消して他のパートナーとやり直せば良いとお考えになるかもしれませんが、不備だらけのJV契約書等に基づいて多額の投資をしたとなれば、それ自体が経営陣の責任問題となります(株主代表訴訟等のリスク)。
また、JV契約等において、綺麗にJV相手と別れられるように条項を整備しておかなければ、速やかに撤退することすらできません。さらに、通常JV契約には、双方当事者が関係解消後も一定期間は競業禁止義務を負うといった条項が設けられることが少なくありませんので、JV関係を解消しても、すぐに現地のビジネスを再開、推進することができる訳ではありません。
結局、殆ど何の成果も出なかったJVビジネスから離脱し、現地での再出発を図るために、二束三文で合弁会社の株式を手放すどころか、莫大な手切れ金まで支払わされるというケースも見られます。これでは、会社の事業を拡大するために海外に行っているのか、自らの可能性を狭め、大損をするために海外に行っているのか、分からなくなります。
各国によって、外資規制に始まり、会社運営に関するルール(会社法及び各種通達等)、事業展開に関するルール(各種業法規制)、契約に関するルール等、日本とは異なるところが多くあり、枚挙にいとまがありません。各国のルールを無視して、日本流のルールや感覚を持ち込んでも、失敗することが目に見えています。
素晴らしい技術やサービスを有する日本企業が、海外においても真価を発揮され、大成功を収められることを心より願っています。その際に、JVという形態は非常に有用なのですが、そのリスクも十分に認識され、コストをかけてでも専門家に相談されることを強くお勧め致します。